ドロウジーズ

スピッツ多めです

テレビ

 歌詞は一番はセックス、二番は死後の世界(生前の世界)、これらを経て三番で生まれるという展開。そのストーリーをテレビで見ているという設定がおもしろい。

 三番では「ブリキのバケツに水をくんで おなかの大きなママは思った」という詞で、「僕」の魂が「ママ」にすくいとられる様子が表現されている。3rdアルバムのタイトルナンバー「惑星のかけら」で「君」が「惑星のかけら」と呼ばれているのと類比的。死後(生前)、魂たちは水のように輪郭をもたず皆混ぜこぜなっていて、生をうけるというのはその水のかけらとしてバケツですくいとられるようなものだ、というのがマサムネの死生観。このテレビという曲のストーリーを見ても、生と死の混ぜこぜ具合が如実です。

 歌詞の素晴らしいところはサビ。このストーリーを「春の風によじれた 君と僕と君と」というフレーズで纏められるのは、詩人の才能。能天気な脆さが一文で表されていて、これがあるのとないのとでは全体の印象も違う。その手前の「マントの怪人 叫ぶ夜」というフレーズも、不気味なものをファニーに書けるところが、スピッツっぽいバランス感覚。