ドロウジーズ

スピッツ多めです

プール

 儚く幻想的なギターと鈴、気だるい歌い方が詞にマッチした曲。「君に会えた 夏蜘蛛になった」と出だしで詩人。不気味にかさなった君と僕を「夏蜘蛛」だけで表現。この出だしを思いついたのだったら、書き手は草野マサムネなんだから以降の詞もそりゃうまくいくに決まってるでしょという感じ。

「街の隅のドブにあった 壊れそうな笹舟に乗って流れた」という一節は、ぼろぼろになりながらも汚れた現実から抜け出そうとする二人が描写されている。

 サビはいずれもセックスのこと。「でこぼこ野原を 静かに日は照らす」とあるが、ここも秀逸。「でこぼこ野原」っていうのがきれいすぎず生々しすぎず良いです。スピッツでは「君」が太陽にたとえられることがよくある。

 タイトルが海や湖でなく「プール」なのもポイント。汚れた現実からの逃避先として水辺が描かれるわけだけど、幼く消えそうな二人でつくったささやかな世界というイメージが「プール」にこめられている。